【密着取材】「私はNIKITA」イリアーナ・ヴァレンティーノ —後編—

「SHOOT BOXING Girls S-cup ~48㎏世界トーナメント2018〜」
2018年7月6日(金)東京・TDCホール

激闘だった初戦を終え、すぐさま控室へ。ダメージはないが、体力の消耗が激しい。それはそうだ。1日3試合で初戦の相手はフィジカルの強い愛三。堅さがある中で3ラウンド体力合戦。

選手の状況を察したセコンドのレナートと夜叉坊さん、控室戻るなり手際よく簡易の休憩スペースを作る。一方のイリアーナ、すぐさまイタリアの家族に電話をし、勝利の報告。休憩スぺースにある、ワタシの娘のタオル(リラックマの絵柄入り!笑)を巻いた枕を見て、嬉しそうにニンマリ。あれだけ疲れていたのに、なんかもう元気になった気がする。(笑)

今回のトーナメントの「過酷」なポイントの一つは、試合間隔が短いこと。次の試合までわずか10数分間。次戦のMISAKIの対策を練る時間を考えると、休憩時間はあってようでない。そんな状況を受け入れる気持ちの切り替えが大切だった。

スタンバイする場所に近づくと、イリアーナの空気が一変し、戦闘モード。誘導スタッフが「スタンバイの準備を!」と、何度も呼びかける。その声を聴きながら、イリアーナはレナートとギリギリまで動きの最終チェック。夜叉坊さんはその様子を見ながら、二人の戦術を理解している様子。時折、「TEAM NIKITA!!」と叫んで、空気を作る。緊張しているワタシや同じくセコンドについたワタシの娘、藍子にも声をかけてくれる。そんな空気がイリアーナ達にも伝わり、スタンバイゾーンまでの間、全員ニコニコ笑顔。これから優勝候補の一角イシス・ヴァービックを破ったMISAKI選手と対戦するのに。(笑)

準決勝、MISAKI選手はやはり「猛突進」。自分より大きくパワーのある相手に対し、内側をとっていくMISAKI選手の必勝リズム。勇気と信じる気持ちがあって出来るファイトスタイル。正直、ここは山だと思ってたけど、イリアーナが冷静に対処。自分の有利なところで全て捌き、試合の主導権を握っている。この動き、さっき最終チェックで何度もやっていた動き!左右に回ってのヒザ、パンチ、バックハンド、セコンドのレナートの指示と合っている。イタリア語だから正確には分からないけど、指示通りに動いているのはワタシにもちゃんと分かった。

勢いに乗るMISAKI選手を完封する価値ある勝利!判定コール、大きく手を挙げて喜ぶイリアーナ、しゃがみこみ悔しがるMISAKI選手。物凄い喜びと共に、いつも記者席で見るMISAKI選手のそんな姿が心に突き刺さる。セコンドも一心同体。勝負の明暗をはっきり感じた。

控室に戻る途中、試合を見ていた選手、関係者、スタッフが次々にイリアーナに「おめでとう」を言いに来る。これも選手のチカラになるんだなー♪ 控室に戻り、改めてイリアーナの体を見ると、所々、傷だらけ。じっと見ていたワタシに気付いてか、イリアーナが満面の笑顔でワタシを見返す。そして、キッと表情変え、「I am a champion!」と咆哮。「そうよ、あなたがチャンピオンよ!」と、みんなで叫んだ。(控室近くだった選手、ゴメンナサイ。笑)

遂に念願の決勝へ。相手はMIO選手、パーフェクトな状況。スタンバイスペースで、何度も「ベルトは私のもの!」と叫ぶイリアーナ。緊張感、集中力、最高の状態。
1ラウンド、イリアーナの動きが堅い。MIO選手も堅い印象。二人のこの勝負に掛ける意気込み、緊張感がこちらにも伝わる。このテンションが2ラウンドも続く。会場が二人の動きに固唾を飲んでいる様子が伝わる。この緊張感だけで、ワタシ倒れそう。

3ラウンド、同時に覚悟を決めた二人。一転して、ガンガンと責め合う。高い技術を持つ者同士だから、お互い中に入っていけなかったけど、ここが最後の勝負。二人とも既に2試合やって満身創痍状態。必死なイリアーナとMIO選手。レナートはもう指示ではなく「バルカーン」しか叫んでない。MIO選手のコーナーも、シーザー浅草道場の名コーチ、ダムさんの叫ぶ声が聞こえてくる。「バルカーン」とは、どうやらコーチのレナートの出身地バルカン半島から来た言葉で、「バルカン魂を見せろ!」という意味らしい。イリアーナはイタリア人だけど。(笑)

最後のゴングが鳴るまで倒しに行く二人。激闘の末、勝者はイリアーナ。コールされると同時に、駆け上がるようにリングインするレナート。

その姿を見ただけで、ワタシは涙ぐむ。夜叉坊さんから手招きされ、一緒にリングインするワタシと娘。たくさんのフラッシュライトを浴び、会場から大きな拍手と歓声。これが勝者の景色。素敵すぎて、言葉にならないくらい。

一日3試合の激闘を制し、傷だらけで満面の笑みをみせるイリアーナ。女性ファイターの活躍が目覚ましいシュートボクシングの新しい「クイーン」が誕生。でも、ワタシの中では、新しい「ファミリー」が誕生した~♪

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