カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『ディーパンの闘い』

内戦下のスリランカを逃れ、フランスに入国するため、赤の他人の女と少女とともに“家族”を装う元兵士ディーパン。辛うじて難民審査を通り抜けた3人は、パリ郊外の集合団地の1室に腰を落ち着け、ディーパンは団地の管理人の職を手にする。日の射すうちは外で家族を装い、ひとつ屋根の下では他人に戻る日々。彼らがささやかな幸せに手を伸ばした矢先、新たな暴力が襲いかかる。戦いを捨てたディーパンだったが、愛のため、家族のために再び立ち上がる——。

sub1
© 2015 – WHY NOT PRODUCTIONS – PAGE 114 – FRANCE 2 CINEMA – PHOTO: PAUL ARNAUD

監督はセザール賞新人監督賞を受賞した『天使が隣で眠る夜』(94)でデビューを飾り、『リード・マイ・リップス』(01)、『真夜中のピアニスト』(05)、『君と歩く世界』(12)など、発表するごとにセザール賞を多部門に渡って独占してきたフランスの鬼才ジャック・オディアール。『預言者』(09)では、カンヌ国際映画祭審査員特別賞グランプリをはじめ、数々の映画賞を総なめにしたのも記憶に新しいところ。人種・宗教・移民問題に揺れる欧州の今を背景にしながら、暴力、戦いを捨て、愛を、新しい家族の絆を 掴もうとする個の闘いを圧倒的且つ、スタイリッシュに描いた人間ドラマの傑作は、今年のカンヌ国際映画祭でコーエン兄弟、グザヴィエ・ドランら気鋭審査員の満場一致のもと、『キャロル』(15)など話題作を抑えて、最高賞のパルムドールに輝いた。

sub2© 2015 – WHY NOT PRODUCTIONS – PAGE 114 – FRANCE 2 CINEMA – PHOTO: PAUL ARNAUD

主人公ディーパンを演じたのは、スリランカ内戦の元兵士であり、亡命後、作家として活躍するアントニーターサン・ジェスターサン。これまでも、ことごとく主演俳優からひと皮むけた演技を引き出してきたオディアールは、演技経験のないジェスターサンの荒削りの魅力を巧みに操り、悩めるディーパンの魂をスクリーンに浮かび上がらせてみせる。光と闇が踊る映像美にクールなサウンドを注ぎ込むのは、今回、初めて映画音楽を手がけたエレクトリック・ミュージックの気鋭、ニコラス・ジャー。サスペンスフルなフィルム・ノワールの手法を得意としつつ、ジャンルを軽々と超えてゆくジャック・オディアール。
カンヌが、そして世界が喝采を送った、鬼才の進化がスクリーンに投影される。

sub3© 2015 – WHY NOT PRODUCTIONS – PAGE 114 – FRANCE 2 CINEMA – PHOTO: PAUL ARNAUD

 

『ディーパンの闘い』

脚本:ノエ・ドブレ、トマ・ビデガン、ジャック・オディアール
音楽:ニコラス・ジャー
出演:アントニーターサン・ジェスターサン、カレアスワリ・スリニバサン、カラウタヤニ・ヴィナシタンビ
2015 年/フランス/フランス語、タミル語/115 分/シネマスコープ/カラー/5.1ch/
原題:DHEEPAN/日本語字幕:丸山垂穂
© 2015 WHY NOT PRODUCTIONS ‒ PAGE114 ‒ FRANCE 2 CINEMA
提供:KADOKAWA、ロングライド 配給:ロングライド
2月12日(金)、TOHOシネマズ シャンテ ほか全国公開

『ディーパンの闘い』公式サイト