まさに 全員悪人! 『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』

ワールドカップ開催、それにともなうスポンサー、放映権――。
七〇年代半ばまでヨーロッパ中心だったサッカー界を大きく成長させ、そして腐敗させたアベランジェとブラッターというFIFAのドン。
その背景には、日本の総合広告代理店・電通の影があった。
誰がサッカーを“仕切る”のか。
2月末の会長選を前に、サッカービジネスを知り尽くす電通元専務取締役が、すべてを語った。

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田崎氏といえば、昨年出版されたプロレスラー長州力の人生を綴った『真説・長州力 1951-2015』が話題となったノンフィクション作家だが、これまでに、カズこと三浦知良の父の半生を綴った『ザ・キングファーザー』(カンゼン)、『W杯(ワールドカップ)に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇』(新潮社)、『球童 伊良部秀輝伝』(講談社)、『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)、『維新漂流 中田宏は何を見たのか』(集英社インターナショナル)など綿密な取材と類い稀な引出す力で、スポーツだけではなく、政治、旅などさまざまなテーマのノンフィクション作品を数多く発表してきている。

今回この『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』出版にあたり、田崎氏はこう語っている。


指先をひっかけて、必死でぶら下がりながら登っているという感覚に陥ることがある。
二〇〇六年に「W杯ビジネス三〇年戦争」を上梓したときは、そんな感じだった。
日本人記者がほとんど取材をしたことがない、FIFA会長のジョアン・アベランジェには二度会って話を聞いている。国家主席を初めとした世界中の政治家とやりあって来た彼は、文字通り百戦錬磨だった。最初に会ったとき、ぼくはまだ二十代半ば。二度目は三十歳を超えていたが、彼を追い詰めたという感覚を持つことが出来なかった。
また国際スポーツ政治については、日本にはほとんど資料がなかった。二〇一〇年に「W杯に群がる男たち」として文庫化する際には、サンパウロの新聞図書館に通い詰めて過去の新聞を探した。新聞図書館は古い新聞が綴じてあるだけで、検索はできない。そこで、記事がありそうな時期に当たりをつけて、端が黄ばみ、ぼろぼろとこぼれてくる紙面を注意してめくって行かなければならなかった。ポルトガル語を理解することは出来るが、ぼくにとっては外国語である。大量のポルトガル語の洪水を目の前にして溺れそうだった記憶がある。
電通にいた高橋治之さんに対しても同様だったかもしれない。
二〇〇五年、初めて話を聞いたとき、高橋さんは電通の役員だった。専用エレベータで特別な会議室に通されて取材をすることになった。本人はきさくだったが、周囲の人間が緊張しているのが見て取れた。そうした空気がぼくの筆を鈍らせたとは思わない。ただ、彼の「弟」については、本筋からずれることもあり、原稿にしなかった。しかし、その後、彼がFIFA及びISLと離れた時期と、弟が世の中で名前を知られたのが重なっていることに気がついた。これは偶然ではない。
自分も取材者として成長し、指先を伸ばさなくてもこの厄介な題材を書けるという自信が出来たこともある。いつか、FIFA、電通、そして高橋兄弟について書かねばならないと思っていた。そんなとき、昨年の一連のFIFAの腐敗報道が起きたのだ。
まずは「フットボール批評」に高橋さんの連載を開始した。そして単行本にまとめるという話が出てきた。内容としてはどうしても過去の「W杯に群がる男たち」と重なる部分がある。そのため新書の長さが丁度いいと判断した。

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目次に
第一章 ペレを日本に呼んだ男
第二章 現金入りの封筒
第三章 契約解除通告
第四章 兄弟
第五章 日本か、韓国か
第六章 全員悪人
と記されているように、本書ではサッカービジネスに群がるアウトレイジな男たちの姿を浮き彫りにしている。

田崎健太(たざきけんた)
968年3月13日京都市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て、1999年末に退社。
著書に『cuba ユーウツな楽園』 (アミューズブックス)、『此処ではない何処かへ 広山望の挑戦』 (幻冬舎)、『ジーコジャパン11のブラジル流方程式』 (講談社プラスα文庫)、『W杯ビジネス30年戦争』 (新潮社)、『楽天が巨人に勝つ日-スポーツビジネス下克上-』 (学研新書)、『W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇―』(新潮文庫)、『辺境遊記』(絵・下田昌克 英治出版)、『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)、『維新漂流 中田宏は何を見たのか』(集英社インターナショナル)、『ザ・キングファーザー』(カンゼン)。最新刊は『球童 伊良部秀輝伝』(講談社)。早稲田大学スポーツ産業研究所招聘研究員。『(株)Son-God-Cool』代表取締役社長として、2011年2月に後楽園ホールでのプロレス『安田忠男引退興行』をプロデュース、主催。愛車は、カワサキZ1。
公式サイトhttp://www.liberdade.com Twitter  Facebook

『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』田崎健太/著

光文社