「毎日が、楽しい。」ジム・ジャームッシュ4年ぶりの最新作『パターソン』

その名を世に知らしめた『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『ダウン・バイ・ロー』など、唯一無二の作風で世界中の映画人から讃賞と敬意を寄せられてきた巨匠ジム・ジャームッシュ監督。4年ぶりの最新作では、初期昨を思わせる何気ない人々の日常を、絶妙なユーモアと飄々とした語り口で切り取り、優しさと美しあにあふれた物語に昇華させた。

独自のスタンスを守り続けてきたジャームッシュが描く主人公パターソンの物語は、情報や物が溢れた現代社会で、それぞれの豊かさを求める時代の風潮とも溶け合い、カンヌ国際映画祭ほか世界中で、ジャームッシュの集大成的作品として大絶賛された。

パターソンの日常が提示するのは、何気ない日々の中で、目を凝らし、耳を澄ませば、昨日と同じ日は1日としてないということ。そして、そこには自分らしい生き方を発見する手がかりがあることを気づかせてくれる。

これは、”パターソン”に住む”パターソン”という名の男の7日間の物語。ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に芽生える詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩。

バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。そんな一見変わりのない毎日。しかしー。パターソンの日々を、ユニークな人々との交流と、思いがけない出会いと共に描く、ユーモアと優しさに溢れた7日間の物語。

主人公パターソンに扮するのは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』などのメジャーからインディペンデント作品まで、多彩な活躍を見せるアダム・ドライバー。ジャームッシュを「現役で活躍する最高の映画監督のひとり」とリスペクトし本作に出演を決めた理由を「ジム・ジャームッシュだよ。それが理由のすべてと言ってもいいね」と語った。

「この男が黙って考えるのを観客を飽きずに観てくれると、ジムはわかっていたんだ。僕らは、次々に何かが起こることに馴れている。僕だって、最初に脚本を読んだ時は、「これらの詩が後に何かの意味を持ってくるのか」とか、「誰かが犬を盗んだりするんじゃないか」とか、「バスが大きな事故に遭ったりするのでは」などど、いろいろ先回りして考えたものだ。でも結局これは、ふたりの人がお互いに自由を与えてあげつつ、一緒に生活を築いていく様子を描くものだったんだよ。こんな大胆な映画に出させてもらえた僕は、ラッキーだ。」(アダム・ドライバー)

本作でバスの運転手を演じたアダム・ドライバーは、製作チームが彼にバスの運転を慣わせようと考えたが、チームが連絡した時点ですでにバス運転の講習を受けていたという。また、劇中でロン・バジェットの詩が使用されるかもしれないと知った彼は、すぐさまバジェットの800ページある詩集『Collected Poems』を手にとり、本編に引用された時の文脈を理解しようとした。スクリーンに映し出されるときは、ドライバー自身による手書き文字によって、特別な雰囲気を醸し出している。

さらに、永瀬正敏が『ミステリー・トレイン』から27年、前作を彷彿させる役柄で登場しているのも印象的だ。

パターソンの妻ローラに扮したゴルシテフ・ファァラハニは、ローラが家でクリエイティビティを発揮するカーテンや壁、ドレス、カップケーキなどのアートワークをプロダクションデザインのマーク・フリードらと共同作業を行った。

パターソンが愛犬のネリーとの夜の散歩中に、ランドリーで遭遇するのは詩作するメソッド・マン(チャステン・ハーモン)。ブルドックのネリーは、カンヌを虜にし、見事パルム・ドッグ賞を受賞したが、カンヌで作品がお披露目される数ヶ月前に亡くなっている。元救助犬だったネリーに、本作はエンドクレジットで哀悼を捧げている。

自分らしい生き方をつかむ手がかりは日々の生活にある。
ジム・ジャームッシュ監督4年ぶりの最新作『パターソン』は2017年8月26日(土)公開

映画『パターソン』

監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
出演:アダム・ドライバー『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、ゴルシフテ・ファラハニ『彼女が消えた浜辺』、永瀬正敏『ミステリー・トレイン』
Photo by MARY CYBULSKI ©2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved.

2017年8月26日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町/ヒューマントラストシネマ渋谷/新宿武蔵野館ほか全国順次公開

映画『パターソン』Official Site