「真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男」刊行記念イベント

KAMINOGE誌上で連載開始時から話題となっていた「真説・佐山サトル」。 およそ2年半の連載を経て7月26日(木)に「真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男」として単行本が発売された。翌7月27日(金)に刊行記念として開催されたイベントには70名以上のフォロワーが集合した!

イベント開始前に行われた囲み取材は、佐山氏と田崎氏が時折冗談を交えながら終止和やかな雰囲気で行われた。

佐山氏は、当初田崎氏からの取材依頼を断っていたという。それには「悪口じゃないんですけど、どうせプロレスに対するおべんちゃらだろうと思っていました。誤解のないように言っておきたいんですが、私はプロレスの文化を背負わないといけないですし、真反対の格闘技の文化も背負わないといけない。言えることと言えないことがハッキリあるんです。それによってプロレスの嫌なところも分かるし、格闘技の嫌なところも分かる。ですから、最初はプロレスに対してのプロレス側から見たものができるんだろうと思っていました。」と明かした

しかし、その気持ちは、田崎氏からの手紙を読んで一変したという。「この本はボクの真実を追究するわけですね。手紙を読んだ瞬間に、あれ、これはこれまでの本とは違うなという期待感がありました。でも、本が出来上がってここまでとは思わなかった。取材の途中からビックリしていたんですが、真実をどんどん追求してくるし、ボクの知らないことまで書かれている」と語った。

田崎氏は前作の『真説・長州力』の取材時に佐山氏を取材し「ボク自身がそそれほど熱心にプロレス見ていた人間じゃないんですが、それでもタイガーマスクっていうのは特別で、格好いいなって思っていました。」と語り、KAMINOGEの井上編集長の連載の依頼を「佐山サトルで」と即答したという。


「佐山さんの資料として、タイガーマスクの時はたくさんあるんですが、それ以外はほとんどなくて、なぜ修斗を離れたかもよく分からかったんです。ノンフィクションは、書く方(題材)に謎がないと持たないんですよ。最初から答えが分かっているとものを書いてもしょうがない。佐山さんって謎だったんです。それで次、プロレスやるんだったら佐山さんしかいないと思っていました。今回、2年半から3年ぐらい取材したんですが『この人は本当のことをしゃべっていないな』というのが本能としてあって(笑)、そういう人に向き合いたいという思いで手紙を書いたんです。この本の冒頭にも書いていますが、こういう形でガップリ四つに組ませてください、嫌なことも書くかもしれません、という話もしてお会いしました。」と語った。

続けて佐山氏は「変な意味じゃなくプロレスはプロレスで、隠さないといけないこと、言っちゃいけないこともたくさんあります。自分がタイガーマスクだということは自覚しています。ファンは裏切れないということもよく分かっている。でも自分の本心は、9対1ぐらいで格闘技、武道の方にあるんです。その中で自分が話す時は、ボクは『バカ』になならなくちゃいけないんです。90%心が格闘技、武道の方にあっても、「タイガーマスクさんですよね?」と言われれば「ハイ、そうです!」と応えなくてはいけない。そんな『バカ』な部分を全部、この本で明らかにしてくれました。」と語り、孤高の天才であるが故の心の葛藤の部分を田崎氏はこじ開けた。

「そういうことは、ボクが死んでから明らかになればいいと思っていました。それまでタイガーマスクでいればいいと思っていた。でも、90%のボクは格闘技、武道の方なんです。そしたらそれ以上のことも書いてくれました。とにかく凄い本です。ボクの知らないことも全部調べています。ズケズケと全部書いてくれました。ハッキリ言って業界の人では出来ない本だと思います」

世界的に拡大している「総合格闘技」の礎を築いた佐山氏はこの状況を「大変喜ばしいことですし、自分が作ったルールや、やり方というものが全て実現しているわけですから。しかし、ボクが当時考えていたものとは性質上全く違うものなので残念ではあります。それは精神的なものですね。相撲のようなものを作りたかった。」とも。

MMA Jorunalは今回の取材前に、あえて、ファン目線の質問や、田崎氏が触れないであろう事、プロレス・格闘技マスコミ陣が佐山氏に聞かないような質問事項を数本用意していた。そして「先日亡くなったマサ斎藤さん(享年75)との思い出はありますか?」と投げかけると佐山氏は

「ニューヨークに行った時にすごくお世話になった人で…大変、申し訳なかったんですが大阪の上井さんの興行(元新日本プロレス取締役上井文彦氏(64)プロデュースの2016年12月2日に大阪市立城東区民センターで開催された「ストロングスタイル・ヒストリー」)でマサ斎藤さんが車イスに乗られていて、ボク意識ないと思っていたんですよ。でも、あの病気は意識はすごくあるんですね。『あっマサ斎藤さんだ、でも意識ないんだろうな』って思ってしまって、無視してたんですよ(笑)。そしたら誰かに“マサさん、しっかりされていますよ”って言われて、慌てて近寄っていて“斎藤さん、すみませんでした”って言ったのが最後の話で…それは、申し訳ないなと思っています」と振り返えり、
「マジソンスクエアガーデンで長州さんとマサさんと行って、マサさんと試合もやりました。それは言っちゃいけなかったんですけど」という秘話も明かした。(米・WRESLINGRATA.COMによると1982年11月から12月にかけてWWFのサーキットに参戦。12月7日ペンシルバニア州アレンタウンにて対戦し初代タイガーマスクが勝利と記載されており、おそらくこの映像がその時のものと思われる)

「新幹線で『”あけみ”はまだか?”あけみ”まだ来ないなぁ』と言ってて『のぞみ』の間違いだったんです(笑)本当に素敵な人でした。」という思い出を交え故人を偲んでいた。

田崎氏は「ノンフィクションの手法って片方の言い分だけで書くのはアンフェアだと思うんです。思いこみもあるので不穏試合と言われた大阪臨海の前田さんとの試合も前田さんに2度ほど話を聞きましたし、佐山さんにも何度も聞いて、そこで一個一個確かめて行く作業をしました。書き手として真実とは言い切れないですけど、ほぼ真実に近いものにはなっていると思うし、これまでのものとは精度が違うとは思っています」と本書を自己解析した。


その後行われたトークイベントは、佐山氏と田崎氏の掛け合いや、タイガーマスク時代や修斗時代の弟子達のエピソード、本書では様々な理由で削除された一文、シューティング合宿動画の秘話などを披露し大盛況となった。

田崎氏は、前作「真説・長州力 1951-2015」で『プロレスラーになるつもりがなかった男』がプロレスのド真ん中に立った真実を説き、本作「真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男」では『プロレスラーになりたかった男』がマスクを脱ぎ格闘家への道を選んだ孤高の天才の真実を説いた。
そして一冊の本となったことで達成感とともに、どこか喪失感のようなものも感じているという。
次は誰の真実を説くのか…
その謎がこの2冊に隠されているかもしれない。

プロレス界最大のアンタッチャブル――
総合格闘技を創ったタイガーマスクの真実!

“孤高の虎”の真実が今、明かされる!

【目次】
プロローグ 佐山サトルへの挑戦状
第一章 父親のシベリア抑留
第二章 プロレス狂いの少年
第三章 ガチンコの練習
第四章 『格闘技大戦争』
第五章 サミー・リー、イギリスを席巻
第六章 タイガーマスク誕生
第七章 結婚とクーデター
第八章 電撃引退
第九章 “格闘プロレス”UWF
第十章 真説・スーパータイガー対前田日明
第十一章 佐山サトルの“影”
第十二章 初代シューターたちの苦闘
第十三章 バーリ・トゥードの衝撃
第十四章 ヒクソン・グレイシーと中井祐樹
第十五章 修斗との訣別
エピローグ “孤高”の虎

【著者プロフィール】
田崎 健太(たざき けんた)
1968年、京都市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、小学館『週刊ポスト』編集部などを経てノンフィクション作家。
著書に『偶然完全 勝新太郎伝』、『維新漂流 中田宏は何を見たのか』、『ザ・キングファーザー』、『球童 伊良部秀輝伝』(ミズノスポーツライター賞優秀賞)、
真説・長州力 1951-2015』、『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』、『ドライチ ドラフト1位の肖像』など

真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男
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真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男

単行本: 520ページ
出版社: 集英社インターナショナル (2018/7/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 4797673567
ISBN-13: 978-4797673562
発売日: 2018/7/26